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友達は、たくさんいるのが当たり前だと思っていた。
誰でも仲良くなれるのだと、普通にそう思っていた。


 



だから、5年生の2学期、私のクラスに転入生がやって来た時も、
友達が1人増えただけだと、本気でそう受け止めていた。

 


学校の案内を先生に任されたというのもあったけど、
家が近かった事もあり、私たちはすぐに仲良くなった。
登校班も一緒。下校の時も何人か一緒で、最後は2人の帰り道。
男の子とか女の子とか、考えた事もなかった。

でもそれは、私達だけだったみたいで。

「月曜日にお誕生日会やるんだ。桃ちゃんもおいでよ」
「うん、行く!他に誰が来るの?」
「山本君と井上君と川田君」
「楽しみだね♪」

 


「ねぇ、友永君今日誕生日なんでしょ?」
「お誕生日会やろうよ~」
「…あ、ゴメン…お休みの日が良いと思って、昨日やっちゃったんだ」
「え~!?」
「おーい、友永ー!山本川田青木ー!昨日の写真プリントして来たぞ!」





その日から。
女の子達が、私の周りから遠ざかって行った。
どうやら、友永君の事を好きな子が何人もいて、
その子と、その子が仲の良い子、そのまた仲良しと…

「青木さんってウザいよねー」
「ちょっと可愛いからって調子乗ってるし」
「あの子と遊ぶのやめようよ」

何かしら、悪口を言っているのも聞こえた。
言葉を無視され、目線を逸らされ、物を隠されて、
そうしている内に人に話し掛けるのが怖くなった。

そして、私だったから友達がたくさんいたのだと分かった。
私だったからこそ、誰とでも仲良くなれていたのだと思い知った。
輪から外れて初めて、私はその中心にいたのだと気付いた。

もしも、この子が転校して来なかったら…
この子が私の事を仲良しだなんて思わなかったら…
私は今もまだ、当たり前のように輪の中心にいられただろうに。

ふとそんな事を考えてしまう自分が心底嫌になった。

人のせいにしちゃいけないのに。
きっと私には他にも嫌われる理由がたくさんあって、
だから友永君の事はきっかけに過ぎなくて。

「桃ちゃん」

なのに、それなのに、その「もしも」が消えなくて、
そんな自分が大嫌いになって、
…あなたのせいで…

「ねぇ」

私が嫌われたのも、私が私を嫌いになったのも知らないで、
どうしてこの子は当り前のように普通に、こうして

「桃ちゃんてば」

あなたのせいで、





「…え?どうしたの、桃ちゃん」
「もうその名前で呼ばないで。私に話し掛けないで。私に近寄らないで。
 友永君なんて大嫌いなんだから!!」

 



「話は聞いたよ。クラスの子と打ち解けてから僕を避けるようになった理由も分かった。
 だけど、僕は今の青木さんとちゃんと友達でいたいんだよ。
 他の誰かと仲良くしたら悪口を言うような人と、
 それでも友達でいたいって言うなら仕方ないけど。
 でもそうしてずっと嫌われる事を恐れながらの友達なんて、それは本物じゃないでしょう。

 あのまま物別れになって、気になってはいたけど…ここで再会出来て僕は嬉しかったよ。
 また青木さんと友達になれるって。
 美術部のメンバーともきっと一生の友達になれる筈だって、本気で思ってる。

 怖いのは分かるけど、もう逃げないでよ。
 また悪口を言う子がいたら、僕も、スズも、桜井君も…
 青木さんの事、守らないわけないでしょう?」



どうしてこの子は当たり前のように普通に、こうして



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