４月２日（木）

「で、何？」

「ルイトモ君、私の事、嫌いでしょ」

「！……別に、嫌いとかじゃないよ」

「うるさくて、しつこくて、嫌な事ばっかり言って」

「………。」

「勉強も出来ないし、運動も出来ないし、自分よりずっと小さいのに、何でか凄い偉そうで」

「別に勉強とか関係なくない？」

「嫌いでしょ」

「…そうやって、押しつけてくる所は、嫌いかもしれない」

「自分の中にある感情なのに、何で素直に認めないの？
　誰かを嫌いになる自分は嫌い？
　こうやって、誰かを嫌いな自分がいる事を認めさせる私が嫌いなんでしょ」

「……嫌いだよ！何で僕の事を否定するの！
　『どこへ行ってもうまくやっていける』っていう自信だけで
　どうせ誰ともずっと一緒にはいられないような環境に耐えてきたんだよ！
　それを根底から否定するような事しないでよ、
　そんな事…言わないでよ！」

「ほらね、ルイトモ君にも嫌な事くらいあるんだから、
　桃ちゃんにもちゃんと嫌な顔しながら言えばいいんだよ」

「今…青木さんは関係ないでしょう！」

「関係なくないよ。元々はそこじゃんか」

「あれはスズが勝手に勘違いして…」

「そうじゃないよ。ずっと引っ掛かってたんでしょ。
　誰にでも好かれる筈の自分を嫌った人だから。
　やっと仲良しになれたと思ったのに
　誰にでも好かれる筈の自分を差し置いて
　別の子ともっと仲良くなっちゃったから」

「そんな事」

「幼馴染で特別だと思ってるのはルイトモ君だけかもしれないじゃん。
　そんな事、聞かなきゃ分かんないんだよ。
　私たちの前でグジグジ言うんじゃなくて、
　ちゃんと本人に言わなきゃ伝わらないんだよ。
　『アンタ間違ってるよ』って、『一番仲のいい友達でいたいんだよ』って、
　今のその怖い顔で言えばいいじゃん！
　いつもヘラヘラして黙っといて『僕の気持ちが分かってもらえない』とか
　被害者ぶるのカッコ悪！ありえん！うわカッコ悪！」

「……………。」